2012年09月08日

喉仏を削る手術と声

 というわけで、100点とは言わないまでも、まぁまぁのところまでできていたのですが、SRS時に問題が起きました。
 わたしは喉仏を削る手術も同時に受けたのですが、このオペの後、やや声が低くなり、音域が狭くなったように感じるのです。
 喉仏を削る手術は声には影響しない、と言われています。男性の喉仏が出ていることも、直接的には声の低さとは関係ありません。しかし、実感としては、喉仏を削る手術の後、明らかに声が出しにくくなりました。
 他人に聞くと「別に変わらない」と言われるのですが、体感的には確かにひっかかっている感じです。
 正確には、普段話す時のメインの声自体はそれほど変化がないのですが、高い通る声が出しにくくなり、何かがつかえたような感じがします。
 その後も長らくこれは変わらず、大抵の医者に聞いても「喉仏と声は関係ない」としか言わません。
 幸か不幸か、それでも社会生活をひと通りこなせる程度のレベルではあったので、気のせいなのかと長らく諦めていました。

 それが最近になって、また気になるようになってきました。
 単に生活に以前よりゆとりが生じて、声のことを考える余裕が出てきた、ということかもしれません。
 ある時、医師から京都の一色先生の診察を受けてみては、と言われました。
 一色先生は声の治療の第一人者で、MtFTSの声治療も多く手がけていらっしゃいます。
 今まであまり考えたこともなかったのですが、とりあえずメールで問い合わせてみました。
 喉仏を削る手術をしていること、その後声が低くなったように感じることを伝えると、「喉仏を削る手術は声と関係ある」とのお答え。分かっている医師が慎重に削る分には大丈夫だが、削りすぎると声帯が緩み、声が低くなる、というのです。
 これで興味を持ち、早速予約をして京都まで診察に行くことにしました。

 ちなみに、わたしがSRSと喉仏を削る手術を受けたのは、タイの某有名医師のところです。
 SRS自体は概ね良い結果でしたし、評価の高い医師・病院ですので、腕が悪いということはないでしょう。喉仏を削る手術にしても、傷跡は非常に綺麗に治り、致命的に声が低くなった、というわけではありません。
 ただ、こうしたリスクもある、ということを了解の上で、手術を受けた方が良いです。
 知人のMtFで歌を歌っている子が、SRS時に喉仏を削ることについて考えていたので、「やめておいた方がいいよ」とアドバイスしました。普通の人ならともかく、歌が好きで声を大切にしている場合、優先順位として喉仏を削るのは諦めた方が安全だと思ったからです(彼女はナチュラルに女声もできていた)。

 自分や知人の経験の範囲で言えば、SRS自体については、経験豊かなタイの医師が薦められます(もちろん、評価の高い何人かの先生に頼むべきです)。
 ただ、その他の手術、日本でも行われている喉仏の手術や豊胸手術などについては、予算や事情が許すなら、全般的に見ると日本の方が安全かと思います。当然、大事なのはどの医師か、ですが、技術の巧拙以前に、センスや価値観の点で、タイと日本では異なるところがあります。タイ人は気にしないような傷跡でも、日本人なら気にする、ということはあります。
 もちろん、最終的には、各医師と各患者の問題ですから、ケースバイケースであって、一概には言えるものではありません。
タグ:SRS 喉仏手術
posted by female-voice at 12:42| 女声の記録

MtF向けの女声ボイトレを受けた経験

 フルタイム生活を始めると、短い期間で自己流で女声を習得できた、ということを前回書きました。
 100点とはいきませんが、とりあえず社会生活を送れる程度のレベルです。

 この頃、数回だけですが女声指導をされているところに顔を出したことがあります。
 一つは、声レベルが非常に高い当事者の方のやっていた会です。この方は当時ノンホル・ノンオペで、女装スナックで働いていたのですが(この職場は辞めようとしているようでした)、容姿も声も完璧でした。
 うろ覚えなのですが、彼女の指導には「裏声限界で大きな声を出す練習」「話し始める前に小さな『あ』とかを入れてジャブ的に高さを測る」などの内容があったように思います。この話し始める前の小さな『あ』は、やってしまいますね。慣れたらやめた方がいいのですが、確かに便利です。
 彼女のセミナーはそれなりのお値段をとっていたこともあり、わたしは一回しか行っていません。
 まったく女声が出来ていないレベルの人は、こういうところで練習するのも良いと思います。

 また、もう少し後ですが、聴衆実験で有名な櫻庭先生のところに伺ったことがあります。ただ、彼女はわたしの行った時は指導というより研究がメインの印象で、特にどうしろとか教えられた記憶はありません。
 聴衆実験(声を聞いた相手が男だと思うか、女だと思うか)に参加してみたいようなら、一度訪ねられても良いと思います。GIDについて深い知見を備えた方です。
 そういえば、櫻庭先生のところで行われていた方法で、子供向けの本を朗読する、というものがありました。これのミソは、女性の台詞のところになると声のトーンが変化する、ということです。特に意識していなくても、女性のパートというだけで多少声が変化します。
 ここでの変化を意識化し練習することは、女声習得にも役に立つかと思います。
タグ:ボイトレ
posted by female-voice at 00:55| 女声の記録

2012年09月07日

自己流である程度できた女声、声パス

 わたしはMtFTS、女性から男性へのトランスセクシュアル当事者で、いわゆるGID(性同一性障害)の「治療」を受けた者です。
 GIDという概念の是非についてはここでどうこうお話しません。とりあえず「そういう人」です。
 7年ほど前にSRS(性別適合手術、性転換)を受け、戸籍を修正、現在は普通の女性としていわゆる「埋没」状態にあります。いわゆる「フルタイム」生活になってからは十年以上になります。
 その過程で色々なことがありましたが、ここでの主題ではないので割愛します。

 声についてですが、わたし自身の現在の声は、MtFとしてそれほど酷い訳ではありませんが、めちゃくちゃハイレベルという訳でもないです。
 元々の地声は男性標準よりやや低いくらいで、我ながらなかなかカッコイイ声でした(笑)。
 SRSするより前に、いわゆる希望の性別でのフルタイム生活を始めた頃、まだ声はできていませんでした。
 ただ、フルタイム生活を始めると、比較的短期間に自然に声はある程度のレベルまで習得できました。短時間というのは、数ヶ月、二三ヶ月から半年くらいのレベルです。
 この時期、それまで勤めていた仕事をやめ、声を使うアルバイトをしていたこともあり、「スパーよりも試合」方式でど根性的にマスターしたのだと思います。いわゆるメラニー法もネットで見て知ってはいましたが、文章を読んでもどうもピンと来ないし、役に立ったかは分かりません。それより、実生活で試行錯誤する方がずっと有効でした。
 本来、声を録音して自分で聞いたりするのが良いのですが、わたしは現実を直視できない臆病者なので、この方法はほとんどやったことがありません。
 ただ、自分なりにそれらしい声を出す工夫をして、生活の中で実践しているうちに身についた、という感じです。
 いわゆる女声について言えば、高さはもちろんですが、話し方やイントネーションが非常に重要です。この辺は意識の持ち方一つで結構変えられますが、この時「周囲が自分をどう見ているか」「周囲にとって自分が何者なのか」が大切です。人間、周りの人間との関係抜きにして社会的存在たることはできないからです。
 高さについては、これがメラニー法にあたるのかは分かりませんが、半ファルセット?のような声を出すよう努めていました。裏声と地声の中間のような声です。練習すると、この部分の声が多少太くなり、会話に使って不自然ない状態になります。ただし高音のMaxについては拡張しないので、同時に「裏声最高音」をある程度上げる練習をすると効果的かと思います。
 声の印象には、共鳴腔での響き方が大きく影響します。「高く」すると同時に「細く」する工夫をしないといけません。鼻母音やn、mの音をうまく使うと、女らしい感じが出しやすいです。
 それから、これは現在に至るまで問題で、多くのMtF当事者が感じていることかと思うのですが、実は女声を出すこと自体より、「男声を出さなくする」方が難しいです。男声というか、低い方の底の音です。普通の女性は低くなっても底があり、「これ以上低くならない」部分があるのですが、MtFの場合、低い方はいくらでも出せてしまったりします。使っていないとかなり退化はするのですが、例えば文末などで一旦上がった音が下がる時、必要以上に下がってしまうことがあります。これも話し方を工夫することで「底が抜けてしまう」のをある程度防ぐことができます。
 また、笑い声や悲鳴も難しいです。特に甲高い悲鳴というのは、今もってわたしはできません。まぁ、あまり好きではないですし、しょっちゅう出すものではないですから、出来なくてもすごく困るというものではありまえんが・・。
posted by female-voice at 21:20| 女声の記録

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